かたつむり
「あの人が、死んでしまったの」女の子が答えます。
「それは、どんな人？」
「私を苦しみから救ってくれた人」
「どうやって？」
「私が苦しんでいたときに、雨上がりの虹を教えてくれたの」
「雨上がりの虹？」
「そう、長い雨に降り籠められても、雨上がりにはきっと美しい虹が出るって…」
「虹は出ないこともあるわ」
「虹はきっと出る。でも、この雨は止まないわ」
「…ねぇ、虹を待つより、雨を楽しんでみない？」
「雨を…、楽しむ…？」
「真っ赤な長靴をはいて、黄色い傘をさして、私に会いに来て…」
「あなたは、どこにいるの」
「…雨に濡れたアジサイの中で、ずっとあなたを待っている」
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私は泣き疲れて、いつのまにか、眠っていたらしい。
窓の外では、雨が降っている。
出かけてみようかな？
きっと、誰かが私を待っている。