ファントム・ローズ
僕の体から噴きだした闇が茨を侵蝕して、僕は鳴海愛の手から解放された。
空がどんどん高くなっていく。
「ああああああああああああああああああああああっ!!」
叫びながら僕を目を覚ました。
白い天井。
腕に刺さる針。
点滴。
起き上がろうとしたけど体が思うように動かない。
それでもベッドを這い下りて、窓を開けてよじ登った。
「こんな世界滅びればいい」
迫ってくる地面。
鈍い音を最後に世界は暗転する。
そして、闇の中で目覚める。
なんだ……また悪夢か。
どこまでが現実なのか区別がつかない。
それを考えることも、この闇の中では意味のあることなのか、難しい問題だ。
リセットを繰り返しながら語られる物語。
語り部は僕。
あれは何度目の悪夢だったのか?
この闇には夢幻の可能性がある。想像すれば見えてくるビジョン。僕はまた世界を創造する。
平凡な家庭で育ち、平凡な高校生として、理想の彼女がいる幸せな世界。
エンドレス
作品名:ファントム・ローズ 作家名:秋月あきら(秋月瑛)