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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ファントム・ローズ

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 僕は動揺してしまった。本物じゃないってわかっていてもダメだ。
 その一瞬にローズが眼前に迫っていた。
 薔薇の鞭が僕の手足を拘束した。
 逃げるミラー。鏡が光るように瞬き消えた。
 残された僕とローズは対峙する。
 無機質な白い仮面だ。なのに、どうして、そんなに可哀想な顔をする?
 ローズはおそらく僕に出会ったときから感じていたのだろう。
 僕は近い将来?弾かれたモノ?になることを――。
「どうして僕に関わる?」
 ローズは僕が?弾かれる?ことを阻止できなかった。むしろ、鳴海愛は僕と共に事件を追っていた。ローズのせいで僕は?弾かれた?ともいえる。
「世界を壊して回ってるのはおまえのほうだろ!」
 ――涙っ!?
 白い仮面が一筋の光りの粒を流した。
 飛び退いたローズの周りに薔薇の花びらが舞う。頭が眩むほどの芳香がした。
 そして、大量の花びらに包まれながら消えるファントム。
 残り香。
 逃げられた。
 ミラーにも、ローズにも。
 また無限にあるこの世界でミラーの本体を見つけるのは骨が折れそうだ。