ファントム・ローズ
僕は相手に見つからないように物影から目を凝らして三人を見た。
水鏡先生といる二人の人物は同じ格好をしていて、そして、異様だった。あのファントム・ローズといい勝負かもしれない。
真上から見ると、つばがひし形をした大きな帽子を被り、暗がりでよくわからないけど恐らく色は白とクールブラウンを基調とした質素なドレス姿で首には鎖が巻き付けられ、手には銀色の金属の棒の先端に大きなリングが付いている杖のような物を持っている。そして、何よりも僕の目を引いたのは、目の部分に包帯のようにグルグル巻かれた布だった。
水鏡先生が謎の人物たちに何かを話しているけど、何を言っているのか良く聞き取れない。
「……捜査…女に…捕まるのも…だろう」
やっぱり何を言ってるのかわからなかったけど、水鏡先生が謎の人物の名前をはっきりこう呼んだのはわかった。
「ミラーズ」
僕はその言葉を聞いた瞬間には身体が動いていて、もう三人の人物の前に飛び出してしまっていた。
作品名:ファントム・ローズ 作家名:秋月あきら(秋月瑛)