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茅山道士 白い犬3

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「えらいもんだ、この術の威力は。」
 倒れた壇を見て緑青がそう言うと、若い道士は、「これでも一番威力の少ない方だと思います。」と、答えた。
「みかけは派手だったけど、私が倒れずに立っていられるくらいだから。」
「そりゃそうだな。・・・・・後で孔が何やかやと尋ねるだろうが、この術しか知らないと言っておけ。」
 緑青のお達しに、「はいはい。」と、麟が答えると、兄弟子は物凄く疲れた顔をした。
「・・・・・お前・・・・だんだん子夏の口調と似てきたぞ。男で世話女房な奴はひとりでいいからな。」
 また、弟弟子が、「はいはい。」と言いかけて、笑い出した。若い道士とその兄弟子が大笑いしているところへ、この村の道士がやって来た。
「ごくろーさん。」と、麟の腕をとって軽く叩いた。若い道士は、「イタタタタ・・・・」と、腕をさすって孔を見た。打撲のところを知ってか知らずか叩いたのである。
「大袈裟な奴だ。しかし、まあ、鵬先生は、最後にいい弟子をとったのだな。雷法をこうも簡単に成功させるとは、たいした見習いだ。」
 カカカ・・・と、孔は笑って緑青に、今日はうちの道観でゆっくり休んでくれと言った。
「本当に助かった、遽先生。うちのものに飯の仕度をさせるから、さあ行こう。」
 庭はひどい荒れ様である。少しは片したらよいだろうと、緑青は言ったのだが、相手はまったく気にしていない。
「いいんだ。明日、ここの者たちにさせるから、気にせんでいい。」
 ふと思い出したように、麟は孔に、この辺りの山で滝のあるところはどこですかと尋ねた。孔は頭を捻って考えていたが、何箇所もあるがと答えた。でもどれも同じ流れにあるとのことで、若い道士は一番上流の滝の場所を教えてもらった。
「何で、そんな事を聞くんだ、麟。」
「白い犬は、どこかの滝の下で眠っていると言いました。供養してやってもいいでしょう? 兄弟子。」
「ああ、そうしてやれ。あの犬も喜ぶだろう。」
作品名:茅山道士 白い犬3 作家名:篠義