CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』
そして次の瞬間、置いていた右手が青く光り始めたかと思うと、
制御盤から大きな電子音が発せられた。その音に、悪魔と何も知ら
ない2人の隊員はビックリした。その電子音のあと、今度は天井か
ら機械音が聞こえ出した。悪魔は、怪訝そうな顔でみぎてをが青く
光り続けている少佐を見ていた。すこしして、機械音は止んだ。
ビー!! ガコン!!
いきなり大きな電子音とともに、悪魔が立ちふさがっていた位置
の天井が高速で下がった。それは、緊急時に使用される隔壁であっ
た。高速で下がった隔壁は、見事、悪魔の頭を直撃した。直撃を受
けた悪魔は、頭を6本の手で押さえ、しゃがみこんでしまった。相
当痛かったようだ。隔壁は、上に上がり、元の場所に収納された。
「今だ! 椿!」
少佐のこの声と同時に、椿はバラ色に輝く包丁を手に、しゃがみ
こんでいる悪魔に向かって駆け出した。そして、悪魔のすぐ前まで
来ると、悪魔に向かってジャンプした。
「……ていっ!!!」
彼女の声と同時に、彼女は包丁を悪魔の顔面に突き刺した。包丁
は頭部を貫通し、刃先が後頭部に登場した。ちょうど、分隊長が殺
られたときのような感じだった。悪魔は、悲鳴一つ上げずに、でか
い腹を上にして仰向けに倒れた。即死のようだ。
椿は、笑顔で突き刺さっている包丁を乱暴に引き抜いた。
「さあ、もう時間が無い。いそごう!」
少佐は、そう言いながら走り出した。彼の右手は元の状態に戻り
つつあった。2人の隊員は、何が起こったのか理解できない様子だ
ったが、すぐに走り出した。椿は、ニコニコしながら走っていた。
4人とも、倒れている悪魔を思い切り踏んづけて通過した。
作品名:CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』 作家名:やまさん