銀髪のアルシェ(外伝)~紅い目の悪魔Ⅱ
ザリアベルはスプーンを持ち上げたまま、圭一を見つめた。だが、その目は青い。怒っているわけではないようである。
「俺はアルシェと違って、姿を変える事はできないんだ。」
「!!」
圭一が目を見張った。浅野も驚いて言った。
「…それは、大悪魔(アークデビル)のザリアベルでも…ですか?」
「俺だから許されないんだ。背負った罪が重すぎてね。変わりたくても変われないんだ。」
「ごめんなさい。」
圭一がうつむいて言った。浅野はその圭一の隣で、神妙な表情をしてザリアベルを見ている。
ザリアベルは、皿の中の麻婆豆腐をすべて食べ終わると、そばにあった布巾で口を拭いた。
「ごちそうさま。」
そう言って、立ち上がった。
「!…ザリアベルさん…」
圭一も立ち上がり、玄関に向かうザリアベルを追った。浅野も圭一と一緒に玄関に向かう。
ザリアベルは、ドアに手を掛け玄関を出ようとしたが、ふと動きを止めて言った。
「イリュージョンショーの方は考えておく。」
ザリアベルはそう言うと、玄関を出て行った。
圭一と浅野は目を見張り、笑顔を見合わせた。
(終)
作品名:銀髪のアルシェ(外伝)~紅い目の悪魔Ⅱ 作家名:ラベンダー