海星の流した白い涙
「明日は晴れるといいね」
帰り道、カイムはそう言った。「そうね」と言って、ぎゅうと強く手を握り締めたくなったけれどできなくて、代わりにカイムが力を込めて握ってきた。それで、私は、嗚呼と思った。彼の優しさに甘えている自分がいちばんいけないのだと。
「明日、晴れたら海に行こう。今度は青い海を見よう」
それが、いまの私の精一杯の言葉だった。
お日様の涙が、あしたは溢れ落ちないように、そっと、胸を押さえる。
さらさらと、海星の欠片が、風に乗って飛んでゆく。そんな切ない音が、胸の奥から静かにきこえた。