魔本物語
終幕
砂漠の都市に住む魔導師は一冊の魔導書を書いた。
魔導師がその魔導書につけた真実の名は〈創造の書〉。
全ての〈存在〉は他があって初めてそこに〈存在〉する。
〈創造の書〉は〈世界〉に対する他になったのだ。
〈世界〉が〈存在〉するからこそ、〈創造の書〉は〈存在〉した。
光がなければ闇は生まれず、闇がなければ光は輝きを失う。
互いが互いの〈存在〉を確認し合うからこそ〈存在〉するのだ。
ボクを記した魔導師は全てをボクに記す前に死んじゃったんだ。
世界が広がり続ける限りボクは無知であり続けるよ。
だから、ボクらの旅は続くんだよ。
ねっ、セイ!
(完)
作品名:魔本物語 作家名:秋月あきら(秋月瑛)