放課後不思議クラブ
黒木は希代と帰り、和馬は駅前の図書館に寄ると言っていた。ミナは学童保育に行っている弟を迎えに行くと言って、行ってしまった。私は家の方向がおなじの久立と帰るのが常だが、その日は小夜子さんも一緒だった。
「どうしたんだ、慎也、貧血か?」
差し出された腕に、私はもたれかかるようにして歩き始めた。久立の腕が、私の命を握る最後の希望のように感じた。ぎゅっと懇親の力を込めていたつもりでいたけど、久立は痛いも何も言ってこなかった。
「何か……、違和感が」
「違和感?」
「逸深さん、大丈夫?」
小夜子さんの声が、かみなりのように私の体を貫いた。何なの?
「う、うん……、小夜子さんこそ、大丈夫?ごめんなさい、私……」
「いいのよ」
小夜子さんは笑った。
「倒れてきた机が、たまたま私のほうに向かってきただけだもの」
小夜子さんはそう言った。しかし、私は、小夜子さんの穏やかな笑顔と合わせてみると、「お前、よくわかったな」と言われているように感じた。何故かはわからない。その言葉の、意味するところも。
そろそろ長袖がきついか、という時期なのに、背筋が凍りつくようにカチコチになって、震える声で私は言った。
「私たち、こっちだから」
「あら、そう?」
「じゃあ、また明日ね」
次の日学校に行くと、六目小夜子は最初からいなかったことになっていた。おそろしくて、私は久立や、ミナや、黒木や、希代や、和馬に聞こうとは思わない。
関係があるのか、偶然なのか、あの日以来、誰も「こっくりさんをやろう」とは言い出してはいない。私自身、どうにも、こっくりさんをしようという気は起きないでいる。
「どうしたんだ、慎也、貧血か?」
差し出された腕に、私はもたれかかるようにして歩き始めた。久立の腕が、私の命を握る最後の希望のように感じた。ぎゅっと懇親の力を込めていたつもりでいたけど、久立は痛いも何も言ってこなかった。
「何か……、違和感が」
「違和感?」
「逸深さん、大丈夫?」
小夜子さんの声が、かみなりのように私の体を貫いた。何なの?
「う、うん……、小夜子さんこそ、大丈夫?ごめんなさい、私……」
「いいのよ」
小夜子さんは笑った。
「倒れてきた机が、たまたま私のほうに向かってきただけだもの」
小夜子さんはそう言った。しかし、私は、小夜子さんの穏やかな笑顔と合わせてみると、「お前、よくわかったな」と言われているように感じた。何故かはわからない。その言葉の、意味するところも。
そろそろ長袖がきついか、という時期なのに、背筋が凍りつくようにカチコチになって、震える声で私は言った。
「私たち、こっちだから」
「あら、そう?」
「じゃあ、また明日ね」
次の日学校に行くと、六目小夜子は最初からいなかったことになっていた。おそろしくて、私は久立や、ミナや、黒木や、希代や、和馬に聞こうとは思わない。
関係があるのか、偶然なのか、あの日以来、誰も「こっくりさんをやろう」とは言い出してはいない。私自身、どうにも、こっくりさんをしようという気は起きないでいる。