キミがいるセカイ 『雨の日のチョウチョ』
雨の日のチョウチョ
今日は雨。
洗濯者は乾かないし、保育園へ連れて行くのも一苦労。
思わずため息をついてしまったが、憂鬱のタネでしかない雨も、子どもたちにとっては楽しいイベント。
ベランダから空を見上げては、雨だ雨だとキャアキャア騒いでいる。
雨だと何が楽しいんだろうか。ちょっとだけインタビュー。
竜輝、5歳。
「だって、カサ使えるんだもーん。」
はあ、なるほど。
千恵、3歳。
「だって、ビッシャビシャになるんだもーん。アハハハ。」
う、うん?それはよく分からん。
保育園まで、いつもは自転車で行く道のりを、雨の日は歩いて行く。
私と竜輝と千恵。
傘と長靴とレインコート。雨の日の3点セットは欠かせない。
わざとではないのだけど、竜輝・千恵・私のレインコートが、青・赤・黄とカラフル…。友達には『信号機みたい』と言われるが、まあしょうがない。
レインコートを着たら、千恵はとりあえず玄関の鏡でポーズをとる。
玄関を一歩出たところで、竜輝は真剣な顔で傘を開いたり閉じたり。
よう分からんけど、楽しいんだろうなぁ。
しとしと降る雨の中、歩道を歩き始めたのだが、何度言っても真っ直ぐ歩けない二人。
いや、間違えた。『歩かない』だ。
水溜まりから水溜まりへと、チョウチョのように、ふわふわ、ふらふら。
作品名:キミがいるセカイ 『雨の日のチョウチョ』 作家名:柊 恵二