迫り来る恐怖
足先から頭まで一瞬にして氷つく。
全身から汗が噴き出す。暑いのか寒いのか分からない。
いつの間にか、私の頭もとに、奴の助手らしき者が立っていた。
奴と同じ衣装を身に纏い、奴と同じ目でこちらを見下ろしている。
(お願い!誰か、助けて!)
私の視界には、真っ白な天井と、ギョロギョロした目玉たち。
願いも虚しく、助手が私に目隠しをした。
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!)
(お願い!助けて!)
ギシギシ…
メリメリ、メリメリッ…
自然界では聞く事のできない轟音が、脳内に響き渡る。
(あぁ…、もう駄目だ…)
(もう、意識が…)
このままでは、自分が自分でなくなってしまう…。
(何で、私がこんな目に…)
「はい、抜けましたよ~。親知らず。」