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迫り来る恐怖

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(何で私がこんな目に…)
見渡す限り白い世界。
私は冷たい台の上に転がされ、声を発する事ができずにいた。
(声が出ない…)
何か薬でも盛られたのだろうか。
上昇する心拍数。
逃げようと思えば、逃げ出す事は可能かもしれなかった。
けれど、迫り来る恐怖によって、金縛りにあった様に体が動かない。

ペタン、ペタン、ペタン…。

(奴が来た…)
突然、視界にニュッと顔が現れる。
(!)
白い布で覆われた顔。何やらモゴモゴと呪文のようなものを唱えている。
布の隙間からは、ギョロギョロとした目玉が見えるだけで、その表情は読み取れない。
(今から何をされるの?)
(本当に体が動かない!)
(声も出ない!)
奴の右手には見たこともない器具が握られており、私は思わず凝視してしまった。
それに気づいた奴の目は、嬉しそうに細くなった…。

作品名:迫り来る恐怖 作家名:柊 恵二