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小鳥と少女

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 とある国の端っこに小さな小さな村落があった。
 それは所謂隠れ里というもので。
 そこは所謂魔女と呼ばれる者たちが暮らしていた。
 そこには暗き魔法を使えぬ者はなく、しかしてその魔女と呼ばれる者たちは、閑散とした村を出ることなく、ひっそりと黒い黒い服を着て魔法の腕を磨いている。ただ無心に。
 そんな閉鎖的な村の中。
 数年前に彼ら魔女たちにとっては最悪の度も過ぎる、大事件が起こった。
 産声をあげた瞬間から、禁忌の魔法を使える赤子が生まれたのである。
 鬱々と安穏に暮らしていた魔女たちはそろってつんざくような悲鳴をあげた。常なら土色の不健康なその顔を死人のように真っ青に染め上げて、その生まれたばかりの赤子を大慌てで塔に隠した。
 それは宛ら監獄のような。
 飾り気一つないじめじめとした、陰鬱な魔女たちでさえ避けて通る村一番背の高い塔。
 そして村の懲罰房の、二つあるうちでより罰の重い者が入れられる場所であった。
 そんな最低極まりない塔の最上階に閉じ込められた、哀れな少女。
 その名は白鷺。
 魔女が最も忌み嫌う、白とそれなりの侮蔑と皮肉が込められた、いまいち嬉しく無かろう名前なのだった。


 さて、そんな白鷺嬢。
 彼女の心は如何なるものか?

作品名:小鳥と少女 作家名:祭 歌