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除霊師~藤間道久の物語 1・藤間道久(1

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「早かったじゃない。もう少しかかるかと思ってたのに。」
「時間をかけるな、って言ったのは悠希さんでしょうが。こちとら学業の時間を削ってまで解決してきたってのに。」
「そうは言ったけどそれにしても早い、ってこと。私だってこんなに早く解決してくるなんて思ってなかったわ。」
「なんだよ、それ。俺は今まで期限を設けられなかった仕事でも先に延ばした記憶はないぞ?」
「そうだったわね。まあいいや、コーヒーでも飲む?」
「いらないよ。それよりも飯が食いたい。」
「まだ4時だけど。お昼ご飯食べてないの?」
「だから、仕事を片付けに行ってたっての。」
「そっか、じゃあもう少し待ってなさい。今、買い物に行ってるから。」
「ああ、そうか。じゃあ我慢しますかね。」

そう言って若者は悠希の反対側のソファーに腰を下ろし、持っていたかばんを床に降ろした。

「で、どうだったの?」
「どうってことなかったさ。正直、拍子抜けにも程があったね。」
「そう、そいつは残念だったわね。話を聞いたときは難しいかな、と思ってたんだけど。」
「まあ、難しいのは精神的なものだったかな。それ以外はそうでもなかった。」
「そう。で、道久。右腕の調子は?」
「びっくりしたよ。そうでもなかったのはこの腕のおかげなんだけど、ちょっとやりすぎ。
普通に力入れただけで、コンクリートが砕けたんですけど…。」
「やっぱりね〜。それくらいの威力は期待してたんだから。」
「やっぱり確信犯かよ。」

道久と呼ばれた若者は、苦笑しながら呆れ返っていた。
彼は、右腕が義手であることとある一点を除いてはどこにでもいるような普通の青年である。
彼の右腕は、峰岸悠希が自身の経験と知識、持てる全てを出し尽くして作成した珠玉の一品であり、今だ試作段階ながら高性能高出力義手である。
当時、義肢装具士として駆け出しだった悠希は、片腕と身寄りのない道久を引き取り、義手を提供し、そのまま自分が保護者となった。

「まあまあ、そのうち取り付けるつもりだったんだから今付けたって、後に付けたって代わらないでしょ?」
「…何があっても付けるつもりだったんですか。呆れるのを通り越して何も言えない。」
「そういう事言わないの。力の入れ具合を調整したいのは山々なんだけど、その分あんたの腕に負担が掛かりやすくなるのよね。それでもいい?」