海竜王 霆雷8
「まだ十数年しか生きていないくせに、老成したことを言いますね。」
「うるさいな。・・・反抗期なんだ。」
理由なんて、どうでもよかった。人間としての未来ではない未来というのは、自分にとって理想的な逃避場所だったかもしれない。
「さて、美愛の親父に逢いに行くか。」
とりあえず、その未来に向かって、前進しよう。そこで、また、何かがあるのかもしれない。そんな気分で、美愛に手を差し出す。
「わかりました。では、私の生まれた水晶宮へ案内してさしあげましょう。」
美愛も微笑んで、ふわりと身体を浮かせて、黄龍に変貌した。その前足には、ちょこんと小さな包みがぶらさがっている。