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学園を制し者 第六話

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「あぁぁ……だるぅぅ」
「…………いきなり、気の抜けるような声を出すなよ」
俺の後ろに座る健太は下敷きをうちわ代りにして、机に突っ伏していた。
かくいう俺も机に肘をつきピントの合わない視界でぼんやりと前方を眺めている。
「そうは言ったってよう信也……。九月も、もう後半だぜ? 文化祭も近いってのに……なんだよこの暑さ……」
「しらねぇよ」
教室の窓際真ん中、直射日光をもろに受ける俺と健太の席はブレザーを脱ぎ、カッターシャツの袖ををまくっていても汗ばんでしまう。
「昼飯……食わないのか?」
「そんなきぶんじゃねぇぇ……」
「だよなぁ……」
健太と俺は互いに溜息をついた。
いつもだったら、ここでみー姉や風見山、たまに雪あたりが迎えに来て一緒にお昼を食べるのだが、今日に限っては誰も来ていなかった。
みー姉と風見山は生徒会の仕事で、雪は……わからない。
雪も狭山と同じで神出鬼没だからな……
「あれ? そういや狭山は?」
「ああ……『俺は文化祭の『下準備』に行く』とか言ってどこかに出ていったぞ」
健太は机に突っ伏したまま答えた。
「あいつ、文化祭で何かやらかす気なのか?」
「しらね……。一つ、解ってるのは、俺らは確実に巻き込まれる」
「だな。まぁ、俺は食券がもらえればそれでいいけどな」
「俺もエロいしゃし……もとい、美少女の哀れもない姿が写った写真がもらえればそれで……」
「何が変わったんだ…………それ?」
健太は答える気がないのか机に突っ伏したまま黙ってしまった。
こんな感じで昼休みをぼんやりとすごしていた俺達。
このまま次の授業までこうしていようと思ったが
「おうおう、元気がないぞー! 男子高校生×2」
「…………そっちは元気そうだな、女子高校生×2」
いや、まぁ元気なのは一名だけでもう一人は元気な子の後ろに隠れるように立っている。
俺と目が合うとそらさせれしまうのはなぜだろう。
「……朱里と遠堂か?」
「ああ」
見る気もないのか健太は体制を変えず俺に質問してきた。
「六車君! せっかく美少女二人が話しかけてあげてるのに突っ伏したままこっちを見ないってのは失礼じゃない? ちなみに私の名前は『しゅり』じゃなくて『あかり』だからそこんとこよろしく!」
「……誰に説明してんだ。 てか、美少女って……」
健太はのっそりと体を起こし椅子に座りなおした。
そんな、健太を確認してよしよしとうなずく朱里。
「で? 何か用か?」
俺は朱里のほうにだずねた。もう一人は……いぜん俺と目を合わせてくれない。この席のあたりが暑いのか少し頬が上気しているような気がする。
「ふーん。ようがなきゃ話かけちゃダメなんだ?」
「……だめじゃないけど」
『岡田 朱里(おかだ あかり)』
男女のさかえ目をきにせず気さくに付き合える女友達。彼女を一言で言い表せばこうなる。
実際、こんな、さえない男子高校生×2である俺たちにでも話しかけてくれる。
言い換えればあんまり男として意識されてないのかもしれない。
「冗談だよ」
朱里のショートカットの似合う中性的な顔はいたずらが成功した子供のように楽しそうだった。
自分で美少女というだけあってちょっとドキッとしてしまった。
「まぁ、用がないってわけじゃないんだけどね……」
「……?」
「ほら! 真弥」
「え? ちょ、ちょっと、朱里!」
朱里は若干自分の背中に隠れるような体制だったもう一人の少女を前に押し出した。
急に隠れる場所を失った少女はおろおろと視線をさまよわせている。
その視線の動きにはパターンがあり、前髪が長くて見えにくいが俺と目が合う→そらす→合う→そらすを繰り返していた。
「……? 遠堂?」
「あ……えと……その……」
なぜか俺が話しかけるとおどおど度が5割増し大特価セール中だ。何か悪いことしたかな?
『遠堂 真弥(とうどう まや)』
朱里といつも一緒にいて、彼女らは自他ともに認める親友だ。
おとなしい性格で、朱里とは違い交友が少ない。
朱里といないときはいつも教室で本を読んでいたりする。前髪で顔が隠れてしまっているが、実はすごい可愛いらしい。
健太いわくああいう気取らない地味なタイプの美女は意外ともてるらしい。
「もう、真弥。しっかり」
そんな遠堂を見かねてか、朱里が助け舟を出した。
「う、うん」
遠堂の助け舟で少しだけ落ち着いたのか視線のありかが定まった。
…………うつむいて、俺と目を合わせない方向で
そして、大きく息を吸い込む遠堂。
「ほ、放課後! 覚悟しておいてね!」
「「「………………」」」
一瞬の沈黙。
「な、なぁ……俺……闇うちでもされるのか……?」
ダッシュで教室から出て行ってしまった遠堂の影を追いながら、俺は引きった笑みをうかべる。
遠堂に宣戦布告されるようなことをした覚えはないのだが
「うーん……そうじゃないんだけど……」
あっちゃーといった感じで額に手を当てる朱里。
「遠堂も難儀な性格をしてるな……」
健太には遠堂の言葉の真意が分かっているのか朱里と顔を合わせてお互い苦笑していた。
「どういう意味だよ?」
「……お前も大概鈍いよな。 どこのギャルゲー主人公ですかってんだ」
「うんうん」
「……なんだよ」
朱里と健太に憐れむような目で見られしまう。
まさか、健太に鈍い奴扱いされる日が来るとは思わなかった。
しかし、本当に何の話かわからないので反論することもできない。
「じゃあ、私は真弥を追いかけるから」
そう言って朱里は駆け足で教室を出て行ってしまった。
と思ったら教室のドアからひょっこりと顔だけ戻ってきて
「ああ! 狭山君には話を通してあるんだけど放課後よろしくね!」
それだけ言うと、今度こそ行ってしまった。
「放課後……何かあんのか?」
「さぁ? 狭山ってことは『生徒学園ライフ支援同好会』関係だろ」
「なるほど……」
健太は興味が失せたのか、意図が切れた操り人形のように、また机にダイブしていく。
そんな健太を横目に見て俺もぼんやりを再開させた。



『今日、『学園生活支援同好会』としての活動有り。放課後部室に来られたし』
狭山からそんなメールがあったのは6時間目が半分終了したころだった。
ちなみに、狭山は後半の授業には参加していなかった。
いつものことなので先生もスルー。……何であいつは成績がいいのだろう。
とにかく、そんなこんなで俺と健太は授業が終わってから部室へ来ていたのだが……
「狭山こねぇな……」
「んー?」
俺の対面のソファーに寝そべって、エロ本もといENを読んでいた健太はさっきとはまた別の意味で気の抜けた声をあげた。
完全にリラックスしきっている。
ちなみに、健太がよんでいるENの名前は『月刊 捨て犬』だ。
表紙絵の犬耳をつけたスレンダーな女の子のうるんだ瞳を見ていると是非とも拾って……うむ、自重しよう。
「まぁ、いいんじゃね? 涼しいし」
現在、『生徒学園ライフ支援同好会』の部室はクーラーをガンガンにきかせて、地球温暖化に貢献中だった。
部員、三人だけのこの部の部室にクーラーが完備させれいるのは非常に贅沢である。
というか、よく考えればそれ以前に『同好会』の俺たちに『部室』があるっという時点で不自然だ。
作品名:学園を制し者 第六話 作家名:hirooger