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学園を制し者 第三話

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「では聞きますが、ご主人様は変態ではないと?」
「あっ……ああ!! 違う!!」
声が少し上ずってしまった。
「ちなみに雪は少し変態です。いじめるよりいじめられるほうが好きなので」
「聞いてねぇよ!」
「でも、ご主人様が持っていたエロ本の中に『緊縛ドエロメイ……」
「すいませんでしたぁぁああ!!」
いつの間にか俺は土下座の体制で許しをこうていた。
……あれ? 俺が悪いんだっけ?
「顔をあげてくださいご主人さま。そろそろいかねければなりません。運転手もまたしていることですし」
部屋にあるアナログ時計を見て雪は立ち上がる。
「……あのさ」
「はい?」
「これもいつも言ってることなんだが……そのご主人さまってのをやめてくれないか?」
いろいろと理由はあるが、何よりも雪と俺は同い年。
いくら主従関係があるといってもできるだけ対等な関係でいたかった
「……それは『ご命令』ですか?」
「…………いや、『命令』じゃなくて『お願い』だ」
これを命令してしまうと本末転倒になる。
それがわかっていて、雪もそういう言い方をしたんだと思う。
「それでは聞く必要がありませんね」
「………………」
雪は俺の訴えるような目をスルーした。
「早く行きましょう……きゃ!」
「あぶなッ!」
雪のかわいい悲鳴を聞く前に俺の体は動いていた。
――どさぁっ!――
「……ッ! てってて……大丈夫か雪?」
俺は自分の腕の中の雪に問いかける。
畳の隙間で躓いた雪を俺が下敷きになる形でかばったのだ。
「………………」
なぜか俺の胸に顔をうずめる形で固まってしまっている雪。
「おい?」
「へ? あっ! ……は、はい、大丈夫です」
ばッ!とものすごい勢いで離れる雪。
(……そんなに勢いよく離れなくても)
俺は若干精神的ダメージを負った。
「………………」
「……? どうしたんだ?」
雪はうつむいたままで黙っている。
よくは見えないが顔が赤いようにも見える。
「なんでもありません。申し訳ありませんでした」
一度深々と頭を下げてからあげた雪の顔ははいつもの色のない機械のような表情だった。
「どうしましたか? 早くいきませんと」
「あ、ああ……」
雪と一緒に部屋をでた。


本家に向かう途中、車で横に座る雪が少し上機嫌に見えたのは俺のきのせいだと思う。
作品名:学園を制し者 第三話 作家名:hirooger