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キミがいるセカイ 『子どもとお月さま』

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 家に到着。
 靴やジャンバーを投げ散らかしながら、家の中に飛び込む。
 そのまま風呂へと直行しようと思ったら、二人の姿が見当たらない。
(おかしいな…)
 振り返ると、ベランダへ続く扉が開いている。吹き込む、冷たい風。
(寒っ…)
 ベランダに二人が並んで、ハダシのまま夜空を見上げている。
「竜輝、千恵ちゃん」
 声をかけると、二人ともなにやら鼻息が荒い。
「かーちゃん、大変だよー!こっちに来て!」
「たいへん、たいへーん!」
「ど、どうしたの?」
 子どもの『大変』は、そうたいしたことはないのだけど、サンダルをひっかけて、そばに近寄った。

「お月さま、本当におうちまでついて来ちゃったよ!」
「ほら、ほら!」
 竜輝と千恵の間に、しゃがみ込んだ。
 そこにはさっき見たきれいな半月。私たちの目の前に、ぽっかりと浮かんでいた。
「きれいだね。」
 そうつぶやくと、子どもたちも一緒につぶやいた。
「きれいだねぇ。」
「ねぇ。」
 しばらく、寒い星空のもと、三人でぼんやりと半月を眺めた。

 子どもが興味深々になってしまうお月さまは、やはり神秘的だなぁと感じたひと時でした。