キミがいるセカイ 『子どもとお月さま』
子どもとお月さま
「何でなの?」
(また、その言葉…)
4歳の竜輝と、2歳の千恵。なんでもかんでも、『何でなの?』と理由を聞きたがる。何回説明しても、同じことを質問してきたり、答えが見つからない質問をしてきたり。
多少イラッとする自分。でも、『質問されたことは、必ず何かしら返事をしよう』と心に決めているので、毎日、こちらも頭をフル回転。
仕事を終えたあと、実家へ子どもを迎えに。時刻は21時過ぎ。本当ならば、子どもはもう寝ていてもいいくらいの時間。
親にも子どもにも、申し訳ないなぁと思いながら、今日も夜空を見上げながら自転車をこぐ。
「迎えにきたよー。」
玄関で声をかけると、子どもたち二人がきゃあきゃあと駆け寄って来る。竜輝は背中に飛び乗り、千恵は私の足に飛びつく。
(トトロみたい…)
二人の重さにふらつきながら、両親にお礼を言って、外に出る。
「かーちゃん、今日はおままごとしたよー。」
「よし君はエンエン泣いとったよ。」
「せんせーと絵本読んだのー。」
二人を自転車の前後に乗せ、同時に話しかけてくる言葉にそれぞれ返事をする。
(聖徳太子はこんな感じだったのかな…)
さあ、そろそろ、今日も「何でなの?」がくるぞ…。
作品名:キミがいるセカイ 『子どもとお月さま』 作家名:柊 恵二