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CROSS 第12話 『救出』

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第1章 収容所



   第12話 『救出』

【時間軸】…異次元暦42733年 11月16日 明け方
【場所】…世界『悪魔魂』(デモンズソウルの世界)
     ラトリアの塔エリア



『今、安全な救出地点を探しています』
「急いでくれよ!」

 山口は、基地のヘーゲルと今起きたこととこれからどうするかを話し合っていた。
 すると突然、獣の不気味な雄叫びが聞こえてきた。視線を移すと、4匹のガーゴイルのような悪魔が、空から接近してくるのが見えた……。
「かけ直す!」
山口は一方的に通信を切ると、大日本帝国連邦軍正式自動小銃を構えた。そして、数発のレーザー弾を、ガーゴイルたちに放つ。避け損なったガーゴイル1匹に命中し、地面が見えない下の暗闇へ落下していく。
 妖夢は素早く刀を抜き、すぐ目の前まで接近してきたガーゴイルを斬り落とした。だが、死角から回り込んできた新手の2匹に、両腕を素早く掴まれ、そのまま空高く引き上げられてしまった。
「離せ!!!」
彼女は刀を振り回したが、両腕をつかまれているため、うまく扱うことができない。
 山口は彼女を助けようと、そのガーゴイルたちに銃口を向ける。しかし、着地できる場所が無いため、撃つことができなかった。ガーゴイルたちによる拘束が解けた途端、彼女はそのまま落下していってしまう……。
 彼女自身もそれは理解できたらしく、下手に暴れるのはやめ、彼女の半身である霊魂もガーゴイルに攻撃することなく、彼女について浮かんでいた。
「よほど、その霊魂は人気があるらしいな?」
妖夢が山口のKYなジョークに言い返すよりも前に、ガーゴイルはそのままどこかに向かって飛び始めた。彼は必死に追いかけたが、素早い動きで飛ぶガーゴイルに追いつくことはできず、彼女とガーゴイルは、彼からは見えないところに飛んでいってしまった……。
 山口は何度も妖夢を呼んでみたが、返事は無かった。かなり遠いところまでもう飛んでいってしまっているらしい。彼は舌打ちした後、バッジ型通信機に触れた。
「ヘーゲル、オレの特殊ゴーグルはどこにある?」
そう尋ねた。少しして、
『……山口さんの特殊ゴーグルは、そこから西北西の方角で直線距離にして約2キロ先の建物にあります。その建物は悪魔連合軍の捕虜収容所のようですが、どうしてそんなところにあるのですか?』
ヘーゲルは、少し怪訝そうな口調で尋ねてきた。
「……オレの特殊ゴーグルを付けていた奴が連れていかれちまったんだよ」
『幻想共和国の魂魄妖夢さんがですか?』
「そうだよ」
『……それはまためんどうなことになりましたね。救出するなら早く済ませてくださいよ。この世界が燃え上がるまであと6時間しか無いのですから』
「わかってるよ」
山口はそう言うと、ヘーゲルが次のセリフを話す前に、通信をさっさと終えた。

 彼は周囲を見回した後、自動小銃を構え直す。そして、足早に進み始めた。