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海竜王 霆雷5

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 報告を受ける前に、妻にだけ、こっそりと教えてくれた。そんなふうに、周りを、こっそりと眺めている夫は、とても優しくて強いと思う。それについて、口出しするのではなくて、ただ見守っているというのは、意外と難しいものだ。黙って見ているのも忍耐だが、夫は、「自由にすればいいのさ。」 と、言うだけで、辛い様子ではない。それぐらい自分の子供たちを信頼しているということでもある。自分には、とてもできそうもない。目にすれば、たぶん、注意してしまうだろう。
「やはり、私くしは、誰よりも素晴らしいお方を手に入れた。あの子も、そう思える日が、すぐに来ることでしょうね。」
 自分が、夫を手に入れた日を思い出して、口元を歪めた。歴代でも、かなり変則的な方法ではあったが、夫は、竜になることを承諾してくれた。あの日の喜びは、何百年経とうとも色褪せることはない。娘も、そういう日を迎えるだろう。そこから、黄龍としての全てが始まると言っても、過言ではない。



作品名:海竜王 霆雷5 作家名:篠義