小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

雪のつぷて10

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「いえ、そうじゃないですけど、真美も実家に帰っているようだし、一人じゃ淋しいだろうなって、そう思ったから」
「悪いけど、君に付き合って貰わなければならないほど淋しくはないし、相手には不自由してないんだ。だいたい真美が家に帰っていることを知ってるなら、おれの心配なんかよりも、真美のほうを心配してやったら? いつも相談にのってやってんだろう。それとも何、それは表面だけで、実はあんまり心配してないの。だったら真美が可哀相だよ」
「そんなんじゃないですけど」
 黄色の手袋をはめた両手を、口元まで持ってきて、握り締めていく。その手袋にも毛玉がついていた。おまけに指先が黒ずんでいる。
「だからさ、おれのことは放っておいてくれていいんだよ。じゃ、急ぐから」
 ポケットに入れていた左手だけを出して、頭の上まで持ち上げた。あ、と美野里の小さな声が聞こえてきたが、もう振り返らなかった。

作品名:雪のつぷて10 作家名:李 周子