僕らのL-S 外伝・・・新田と早乙女 1
久しぶりの日本
飛行機が空港に降りた。10年振りの日本。オレ新田司はこの春から日本の中学校へ編入する。2歳からずっと祖母のいるイタリアで過ごしてきた。父の出張の関係で家族を置いてはいけない・・・なんてイタリアに連れていかれた。ほとんど記憶のない日本だけど、なんだか懐かしい感じがする。
手荷物を受け取って空港を出るとじいやが迎えに来てくれていた。
「おぼっちゃま、おかえりなさいませ」
けどじいやがなんて言ってるのか最初解らなかった。ニッコリ笑ったじいやが言った
『おぼっちゃま、今のは日本語でおかえりなさいと申したのでございます。まだ日本語は慣れないようですね』
オレに気を使ってイタリア語で話してくれた。
『ごめん。向こうが長かったせいか、まだ日本語は慣れないみたい』
これからゆっくり覚えましょう・・・と荷物を受け取ったじいやが答えてくれた。
中学入学まであと2ヶ月・・・。オレは大丈夫なのか・・・。不安で胸がいっぱいだった。
作品名:僕らのL-S 外伝・・・新田と早乙女 1 作家名:沖田晴