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海竜王 霆雷3

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「だから、殺したくありません、と、私は申しました。・・・少し、あなたと話してみたいのですが、滞在させていただくことはできましょうや? 」
「はあ? 」
 彼女は、立ち上がって、俺に人差し指を突きつけた。なんとも不躾な態度だが、それが妙に形に嵌っていて、俺は何も言えなかった。なぜ、それほどに死にたいのか、それを、ちゃんと説明して、自分が納得できるなら、それを行使してもよろしいと、彼女は不遜な態度で、言葉を突きつける。
「見る限り、困窮しているわけでもないし、何か大きな悩みがある様子でもない。それなのに、消えたいと申されるのは、心の奥に何かがあるからではありませんか? それを、私に語り尽くしてくださるなら、望みは聞き届けてさしあげましょう。いかがです? 滞在費が必要ならば、そちらは、すぐに用意させます。」
「あんたさ、何者? まるで、神様だな? 」
「私は、竜族の次代を担う黄龍です。神ではありませんが、それに近いものだと申しておきましょう。どうですか? 月灘彰哉。私に語ってみませんか? 」
「今夜、あんたが、ドラゴンに変身したら、という条件ではどうだ? その姿を見せてくれるなら、いくらでも語ってやる。・・・・くくくくくく・・・幻惑とか暗示は効かないからな。俺には、それを感じる能力がある。」
 もし、この女が、本当に龍になれるなら、俺は、かなり変わった消え方ができるのではないかと思った。たぶん、消えることになるだろう。親父が予想していたのだとしたら、それは確実だ。想像上の生き物は、本当は、どんな姿なんだろう。もし、この女が騙っているだけなら、夜を待たずに出て行くはずだ。もし、夜まで居るなら、信じられないものを拝めそうだ。
「わかりました。では、夜まで、こちらに滞在いたします。」
「好きにしてていい。外へ出るなら、俺の服を貸してやるから、それを着ていけ。その格好は、目立ち過ぎてまずいぞ。・・・あ、あのさ、あんた。」
「美愛です。」
「美愛、あんた、俺より年上か? 」
 俺の質問に、彼女は、きょとんとして大笑いした。それから、「年上です。たぶん、二百歳以上も年上ですよ、月灘彰哉。」 と、返事して、また、大笑いした。
・・・こいつ、どっかおかしいんじゃないのか? 本当に・・・・
 マイ設定も、ここまでくると、天晴れだ。だが、真実に驚くのは、俺のほうだった。

作品名:海竜王 霆雷3 作家名:篠義