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all night!

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「それは嘘だ」
「言う前から決めんじゃないよあんた」
「カマ口調やめろよきめぇ」
「いやーん浅野くん言葉の暴力―」


殴ったろかこいつ。
昼時だけど春休みだからサークルの活動がある奴くらいしか来ていない。だからいつもと違って食堂は空いている。
制作に詰まって携帯を見たら笹井から『食堂に来られたし、至急』という武士語のようなメールが入っていた。ちょっと癪だが作業は完全に詰んでいたので気分転換に外でメシでも食うついでに、という口実につけて食堂に向かった。
そしてそこには正装の笹井がいた。スーツ、ネクタイ。信じられん。いつもTシャツとジーパン、もしくはカーゴのくせに。


「・・・で?至急って?」
「この服装については就活中ということで気にするな。そしてこれは嘘ではないからちょっと聞け、聞いてくれ」
「メシ食いながらでもいいか」
「構わん」
「はいそれで」
「俺はお前が好きらしいんだ」


ラーメンを吹いた。


「らしい、とか言ったが本当だ」


スーツのジャケットに俺の飛ばした青ネギをつけたままでくそ真面目な顔をして笹井は言う。
俺はむせる。


「返事はいつでもいい、寧ろしなくても構わない」


むせっぱなしの俺を置いて、笹井は席を立った。
至急の用ってこれかよ、言うだけ言って勝手に帰んなよ、好きなら背中さするくらいしろよ、てか吹いたラーメンに動じろよ!お前はあれか、就活で不動心でも身につけたというのか!
散々困らせた挙句とっとといなくなりやがった笹井に怒りを覚えた。好きって何だよ。らしいってどういうことだよ。本当なんなら最初から言えよあの馬鹿が!


(おのれ笹井・・・!!)


かつてこんな恨めしい告白があったろうか、いやない。反語法だ。






「・・・という夢を見たんだ」
「嘘だろ」
「嘘だよ」


むせまくった結果目が覚めた俺の冷えピタをひっぺがしながら笹井が笑う。


「夢の内容なんか覚えてねーよ」
「・・・告白してほしいんならもっかい言ってやろうか」
「嘘だろ」
「・・・・・まぁ、嘘かな」




作品名:all night! 作家名:蜜井