看護師の不思議な体験談 其の十三
夜勤にて…。
仮眠は、本当に貴重な時間だ。3~4人のスタッフが交代で休むため、決められた時間枠の中、いかに熟睡できるかが、その夜勤帯の体調や業務遂行に大きく影響する。
そのため、仮眠方法も、スタッフ個々で全く違う。
きちんと簡易ベッドを広げるスタッフや、処置台に寝るスタッフ。場所も、カンファレンス室、空いている個室、スタッフ休憩室など様々。中には、安眠グッズを持ってくるスタッフも。
ちなみに私は、処置室の換気扇のスイッチを入れて、ゴウゴウと響く重低音を聞きながら、狭い処置台で寝るのが好き。そうすると、ナースコールやモニターのアラーム音、電話の音などが聞こえにくく、仮眠に集中できるのだ。耳栓もあるとなお、良い。
「杉川さーん。私、今から仮眠してきます!何かあったら起こして下さいね。」
後輩Nさんがそう言いながら向かったのは陣痛室。
「ゆっくり休んでおいで。」
陣痛室は広いし、空調も整っている。カーテンで仕切りができるようになっているので、カーテンをひくと、適度な空間が心地良い。
その夜、Nさんもそうして仮眠に入った。
作品名:看護師の不思議な体験談 其の十三 作家名:柊 恵二