マジェスティック・ガール.#1(6~8節まで)
厄介事を身に引き寄せる自分の為に、そこまで身を挺する必要なんてないのに。
ツツジの気持ちはとても嬉しく思う。
彼女の信条は理解している。その気持ちは受け入れるべきだ。
そうすれば自己犠牲を尊ぶ彼女は、喜んで自分の心に殉じることだろう。
それなら私は、それを――…
――シャトルが爆発する瞬間。
死の光景がフラッシュバックした――
私の不幸は私を殺さないが、私以外の者には容赦なく牙を剥く。
いつそれが、ツツジの幸運のバリアを突き破って、彼女を殺すとも限らない。
それが、怖い。
たまらなく、怖い。
――だから。
だから やっぱり。
「…だ…」
「え?」
ミミリは、あらん限りの声で喚いて散らした。
まるで、聞き分けのない駄々をこねる子供のように。
「やぁーーーー、だぁぁーーーーッ!無理!”絶対無理”ですよ!
私の不運(ハードラック)は、そういうレベルの物じゃないの!
運命とか因果レベルで作用するものなのーーーー。
そういう宿星(もの)なんだからッ!
どんなに抗っても、なる時は”絶対”そうなるんだから。
ツツジがいくら幸運に恵まれてても、無理っ!
”ぜぇーーーーーたいっ”、ムリッッ!!
だから、やだ。”絶対”一緒にはか・え・ら・な・いーーーーー!」
それを聞いて――厳密には、言葉の中にある一つの
ワードを聞いてツツジの中で何かがバチンと切れた。
俗に言う、堪忍袋の尾という奴がブッツリと。
「こ…こんの…」
ツツジの掌から、電光が迸った。
「…だぁぁ、もうっ!この分からず屋ぁぁああぁぁーーーーーーッ!!」
「あびゃびゃらびゃvぶらhl#$%¥ぁ
bryくwbらsfじkぇ------ッ!?」
ツツジは『能力』を行使し、掌から高圧電流を発生させ、
ミミリの体を掴んで流し込んだ。
これぞ、人力スタンガンもとい、必殺ツツジ・コレダー。
体中を駆け巡る六十万ボルト超の電流に、全身の神経と筋肉が痺れ、
痛みに鞭打つ中で、ミミリは朦朧となり気を失った。
ツツジは、気を失いぐったりとしたミミリを背に担いだ。
その顔に、怒りと悲哀を混ぜ合わせた表情を浮べ――
「…”絶対ムリ”とか、言うんじゃないわよバカ…。
”絶対”なんてことは、”絶対”ないんだから…」
作品名:マジェスティック・ガール.#1(6~8節まで) 作家名:ミムロ コトナリ