炉黒一琉の邂逅
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都市伝説がある。それは、信じる人は信じるし信じない人は信じない。怪奇現象においても同じことが言えるだろう。何故ならそれは実際に目の当たりにしていないからだと僕は思う。僕自身、実際にそういった類の現象に出会う前まではほんの一ミリグラムたりとも信じていなかった。
いや、信じていなかったというよりは現実味がなかったと言った方が近いかもしれない。それこそ、今でも起こっているかもしれない小惑星の誕生と同じことなのかもしれない。それだって僕達が他人から聞いただけの話であって実際に見たわけではない。だから、そのことは知っているだけで本当に起きているかどうかはと問われれば、現実味のない話になってしまう。
宇宙規模の話を引き合いに出してしまっては大言壮語になってしまうかもしれないけれど、そういうことなのだ。どういうことなのだと問われれば、やっぱり百聞は一見にしかずとしか答えられない。
余計なことを冒頭からだらだらと話しているわけにはいかないので、要点だけでも押さえていてほしい。
僕は、この世界に都市伝説や怪奇現象、それに伴う亡霊や妖の存在を強く肯定しているということ。断言したっていい。この世界には亡霊や妖の類はいる。
これは僕の経験からする話であって、ただの憶測や推測の話ではない。
僕はこれまでに嫌というほどに怪奇現象や都市伝説に出会っているのだ。
僕は高校生活という人生の中で最も青春時代と言っても過言ではない時期を平穏に過ぎた後に、怪奇現象と出会った。そして笑われてしまうかもしれないけど、恋に落ちたのだ。たった一人の亡霊と出会い恋に落ちて奔走した。一世一代と言っても大言壮語ではないくらいに恋に落ちた。
この話をしてしまうと、もはやプロローグではなくなってしまう･･････というよりもラブロマンス物になってしまうので休題もしくは自重させてもらうけれど、それからというものの僕はとにかく怪奇現象や都市伝説と言った不可解極まりない現象に良く遭遇するようになった。
蜻蛉さん曰く、この世には怪奇現象や都市伝説と出会う人間には『引き込む』タイプと『引き込まれる』タイプとの大きく分けて二種類の人間がいるらしいが、僕は後者の『引き込まれる』タイプらしい。
僕としては迷惑な話なんだけれど、一概にそうとは言い切れないのが現実だ。それは何故か。答えは単純明快。彼らとの生活は決して迷惑だけではないからだ。
蜻蛉さんというのは、推定年齢が三十前後の胡散臭い青年の事である。都市伝説や怪奇現象を調べたり解決したりするのを職業として生計を立てている人間だ。本人談なので本当はニートなのかもしれないが気にしないようにしている。
僕が初めて怪奇現象に会った時からの付き合いで今ではその時の恩返しと言ってはあれだが、時々蜻蛉さんの手伝いをしている。
蜻蛉さんの事については追々分かると思うで蜻蛉さんの話はこの辺で終わらせよう。
僕が出会った都市伝説や怪奇現象には、見た目とは裏腹な首なしライダーだっていたし、可愛らしく守りたくなる鬼の子だっていたし、少し内気な歩く都市伝説だっていた。
たまには怖い思いだってしたこともあったけれど、普通の生活をしていたって怖いことだってある。そう考えればなんてことはないと思うのだ。
彼にだって優しさもある。僕たちと変わらない感情がある。
それに彼らだって恋もするのだ。