更新日時:2016-08-09 21:19:34
投稿日時:2011-04-10 20:04:45
長兄の重荷
著者の作品紹介
長兄は、子供の頃から、働かせられ、家と田畑そして墓を守るために生きてきた。『俺はもう十分、重荷を背負ってきた。後は頼む』と言いたげな顔をしている。その荷を次は誰が背負うのか。次兄なのか。それとも自分か。あるいは弟なのか。だが、次兄も弟も故郷から離れたところに家を建てた。もう戻る気がないと宣言しているようなものである。すると、自分か……。いや、自分も実家に戻ることはないだろう。そうすると、長兄は誰にもバトンタッチすることなく死ぬ。誰が悪いわけではない。それが運命なのだ。そう自分に言い聞かせた。
次に日、長兄に駅まで送ってもらった。
車から降り、振り返ると、長兄がタバコをくわえながら手を振っている。その姿を眺めながら、「悪いけど、その背中の重荷は誰も引き継がないよ。でも、葬式はちゃんと出す。それで許してくれ」と心の中で呟いた。
次に日、長兄に駅まで送ってもらった。
車から降り、振り返ると、長兄がタバコをくわえながら手を振っている。その姿を眺めながら、「悪いけど、その背中の重荷は誰も引き継がないよ。でも、葬式はちゃんと出す。それで許してくれ」と心の中で呟いた。
感想コメント (4)
家長が担う重苦しさが切ないですね。 | 退会ユーザー | 2011-12-30 21:12:24
いつの世代になっても長兄・長姉はツライものがありますね。また兄弟同士で思っていても口に出せないことってありますよね。 | 退会ユーザー | 2011-12-04 20:29:15
コメントありがとうございました。登場人物の心情の描写がとても素敵でした^^ | 七瀬 | 2011-04-20 19:58:43
年の離れた兄弟の切ないもどかしさがよく描かれていて、主人公と一緒にもやもやしてしまいました。 | ハル | 2011-04-19 17:49:57