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bluesky free

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メモ
前頁の続きではないですが、今の構想をメモ程度。




「あんたが名雲京介?」
 水曜日恒例の買い物を済ませ、あとは家路に付くだけとなった名雲へ、一人の影が近付く。
 顔に見覚えのない名雲は、返事をする事なく踵を返そうとした。
「おいおい、名前くらい聞いてもいいんじゃないの。霊媒師の黒土家だよ。名前は知ってるだろ。」
 その名前に、名雲は少し足を止めた。名前の威光に惑ったと見た男は、少し首を傾げ鼻で笑う。
「黒土って言えば名家だもんなァ。ついでに言えば俺は次期頭首だから、そこんとこ忘れないようにって釘差しに来たんだよ。ここ明智町は俺たち黒土家が展開してるから、お前たちは安心して、」
「くっ、」
「…何が可笑しい、」
 少しも笑っていない眼で、名雲は苦笑する。その冷やかな眼に、黒土の男はたじろいだ。
「いや、最近は馬鹿でも黒土を名乗れるのだな、と、名家の落ちぶれを目の当たりにして驚愕しただけだ。」
「…なっ、」
「名雲!まーたあんた喧嘩売ってんの、」
 同行していた空が痺れを切らしたようだ。遠巻きに見ていたが、少し険悪な雰囲気になったので、水を差しに現れる。
「空、」
「あん?なんだお前、」
「こんな馬鹿の相手してたら身体持たないでしょ。アーシェもなつみも待ってるんだから行くよ。」
 黒土の男と名雲の間に割入り、喧騒を遮る。無視され、馬鹿呼ばわりされた男は、逆行した。
 空の襟首を両手で掴む。名雲の腕が男の頭に伸びたが、空がそれを遮った。
「誰に向かって馬鹿だとか言ってんだお前ら!ああ?!」
「ハァ?ここの国には馬鹿に馬鹿って言っちゃいけない法律でもあんの?」
「この糞ガキ…!」
 平手が飛んできた時、男の腕を名雲が掴んだ。
「空、言いすぎだ。」
「…そう?あんたの方が言いすぎだと思うんだけど。」
「…っ、テメ、この!離せ!」
 空と男の距離を充分に取らせ、ようやく解放された男は逃亡を図るが、名雲の拳によって阻止された。
 頬を一殴りされた黒土の男はそのまま意識を失う。近くに人の気配を感じた空は、名雲の腕を取り走り出す。
「逃げるよ!」
「何故、」
「こんなとこで捕まったらどうすんの!いいから、逃げるよ!」
 名雲は、掴まれた腕を離し、強く、空の手を握った。




作品名:bluesky free 作家名:桐重