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灰かぶり王子~男女逆転シンデレラブストーリー~

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 アールイは浴室にいた。四つん這いになって、泡の付いたスポンジを片手に風呂掃除をしている。
「あーもう面倒くせ」
 とは言いつつも、手を抜くことはしなかった。
 母が死んで、父が再婚してからこの5年間は、アールイの生活を大きく変わった。
 城にいたときは20人ほどいた使用人も、今では一人もいなく自分が使用人のごとき扱いを受け、しかもシンデレラ(灰かぶり姫)と呼ばれている。
 いくら髪を切る暇がなく伸びた髪が綺麗な金髪で、黙っていれば美少女のようだとはいっても、あんまりである。
 アールイには劣るがかなりの美貌を持つ継母が、嫌みと妬みを込めて付けたあだ名であった。
 アールイの背後で、物音がした。
「シンデレラ、お風呂掃除は終わったかしら」
 アールイが振り向くと、そこには腕を組んだ継母が立っていた。
「るっせーな。今やってんのが目に入んないんですか?オカーサマ?」
 アールイはスポンジを持ってない方の手で鼻の下を擦り、上目遣いで継母を睨み付ける。
「あぁ、お目が悪いんでしたっけ。あと俺の名前は“灰かぶり姫”じゃなくて“アールイ 王子”だっつーの。ついでに頭もお悪いんじゃないんすか?クソババア」
継母は美しいプラチナブロンドを揺らし、キッ、とアールイを睨み付けて、
「目も頭も悪くないわよ!馬鹿にしないでよシンデレラの分際で生意気ね!!」
 と吐き捨てるとバン!!と勢いよくドアを閉めて浴室を立ち去った。
「…だーから俺の名前はアールイだっつの」
 まだ5分の1も掃除が終わらない広い浴室で、アールイは一人呟いて掃除を再開した。