小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

小太郎の飛行機旅行

INDEX|8ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

 富良野では、ラベンダー園や朝日の丘公園、富田ファームなど、多種多様な花々を色ごとに、よく手入れしていて目に心地よい。車中からよく見えるが、やはり花の中をのんびりと散策するのは気分を良くしてくれる。小太郎もそれなりに楽しんでいるようではある。
 プチトマトを自分で摘んで自由に食べられるようにしているところが結構あったが、たいていはもうなくなっていた。
 コテージで「好きなだけどうぞ」と言われて摘んで食べたトマト。いやぁ、おいしかった。太陽を十分浴びたトマトは大好きだ。ハウス物とは味が違うよね。
 
 ドラマ『北の国から』の舞台となった麓郷へも行った。テレビを持たない主義の私はドラマの内容は知らないが、さだまさしのファンでもあり、気持ちを落ち着かせてくれるこのテーマ曲のことは知っている。
 建物群や部屋の中、五郎が使ったという道具類、懐かしさを覚える。それらの経験していない生活にもかかわらず郷愁を覚えるのは、心に刷り込まれた日本文化のせいだろうか。

 
 朝の目覚めが早い私は小太郎を連れて散歩に出た。町は寝静まったままだ。夫が遅れてやってきた。広い野原があちこちにあり、リードをはずして投げたボールを取りに行かせたり、走りまわっても人がいないので気兼ねがいらない。
 犬が全力で走る姿は美しい。競走馬と同じように、力強く伸びやかな姿態には見惚れる。
 隠れた夫を探している間に私が隠れる。私が走ってもすぐに追いつかれるのだが。
 そうして、小太郎は前足をねんざした。草で隠れていた溝に足をとられたのだ。ニセコに戻った翌日に、蝦夷富士といわれる羊蹄山を登る予定をしていたのに。
 階段を下るのが少しつらそうだった。
作品名:小太郎の飛行機旅行 作家名:健忘真実