一生懸命頑張る君に 1
プロローグ
炎天下、人々は暑さと戦いながら、それでも仕事に勤しんでいる。
下田佳奈美もその一人だった。
彼女は駆け出しのフリーライターである。もともと新聞社で働いていたのだが、仕事の忙しさゆえに一年で退社することになった。それでも、「書く」という仕事をあきらめきれず、今はフリーライターとして活動している。周りのたくさんの支えがあったからである。彼女は少しずつではあったが、仕事が増えてきていた。
そんなある日、彼女に大きな仕事が舞い込んできた。先月行われたオリンピックで金メダルを取った田中琥瑦選手のインタビューである。佳奈美の知人がなんとか取り付けた仕事だった。周りからの期待は物凄かった。なぜならば、彼田中琥瑦はインタビューを好まず、そのステータスは謎に包まれているからであった。
佳奈美は期待と不安でいっぱいだった。佳奈美自身、彼のことをずっと注目してきたところがある。インタビューを想像しただけで緊張が走った。
そして、当日を迎えたのである。
作品名:一生懸命頑張る君に 1 作家名:雛鳥