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Loveself プロローグ~天災編~

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「だから、友達同士で距離置くとか、そういうこと言うのなし、いいな?」
いいな、も何も。
貴方はそう答えるに違いないと思っていましたけれど。

「……もちろんです。……長い話に付き合わせてしまって申し訳ありません」
「いやいや、俺もわざわざここに息抜きに来てるわけだしいいって」
「息抜き……ですか。そういえば言い忘れていたのですが」
「何だ?」
「実はもう昼休みが終わって10分ほど経過しているんですよね。息抜きにしてはやや長すぎやしませんかね」
「そんな大事なことを言い忘れるなああああああああああああ!」
「貴方がいつか気付くといいなあ、でも多分気付かないだろうなあ、友人として教えるべきかなあ、でも在野だしどうなろうといいか、と考えていたら言い忘れていまして」
「最後の在野だしいいか、に悪意こもってない!?」
彼はこんな場合じゃないとつぶやき、あわてて保健室から出て行きました。
……全く騒々しいですね。彼のそんなところは嫌いではありませんが、俺はこう見えてもデリケートなんですよ?
時間は一時十分。昼寝をするにはちょうどよい頃合いです。
眠気も出てきましたし、この辺でお開きにしますか。
……でもその前に、一度まとめておきましょうか。
『貴方』の、ために、ね。

―――さて。
これで、『彼』と彼を取り巻く俺の愛しき―――ただし一名を除き―――人間たちの紹介は、一通り済んだことだと思います。
これから始まるのは―――何、大したことではありません。

これから始まるのも、日常ですよ。ただの、『日常』。

少しばかりそれが奇妙なものであったとしても、それは日常の域を大幅に逸脱することはないはずです。
『俺たちにとって』は、の話ですが。
少なくとも、魔法使いが空を箒で飛び交うだとか、俺の忌々しき神が超能力を使うだとか―――そんな展開はこの先『起こらない』と、保証しましょう。
いや、むしろ『起こるべきではない』と言い換えた方がいいかもしれません。起こられたら俺が困ります。

……え、何ですって?俺の名前は?
貴方は失礼な人ですね。どうしてもっと早く聞かなかったのですか?
……自分は『見ている側』だから声などかけられるはずがない?愚かですね、やろうともしていないのにどうしてそんなことが分かるのですか?チャレンジ精神、という言葉が貴方の役立たずの辞書には載っていないようですね。
―――まあ、いいでしょう。見たところ貴方は『異常』ではなさそうですが、こちらの事情は察しているようなので、ね。

俺は傑作為。             つく
傑作を為すと書き―――また同時に作為的に傑ると書いて、すぐりさくい。『彼』は俺のことをサクと呼びますがね。
ああ、ちなみに本名ではありません。本名、ですか?そんなことを聞いて何が楽しいんですか?そんなに気になるんですか?そんなことはありませんよね?貴方は俺のことなんてどうでもいいですよね?そうですよね?そうだと俺は信じていますよ?

……失礼、少々取り乱してしまったようです。
では、本題に。
これから始まるのは―――俺、傑作為を含んだ、ある『異常者』達の日常。
水口在野と、その周囲を取り巻く、『自己愛』の行く先と結末、です。
過度の期待は禁物です。あまり期待もされたくありません。第一期待に答えたくもありません。
何が起こるかはまだ分かりませんが、しかし、2つだけ確実に言えることはあります。
1つは、先ほども言いましたが頭の悪い貴方のためにもう一度。この物語には魔術だとか超能力に値するものは出てこない、ということ。そんな神と同じくらい信用ならないものに、人間が支配されるなんて―――最高に詰まらない笑い話だ。
そしてもう1つは―――その物語のどこかに必ず『彼』―――水口在野の存在があるということです。
時に事件の中心に、時に気づかないくらいわずかなすれ違いで。
全く無関係に思えても、無関係ではない―――彼は必ず、何らかの影響を与えているはず。
その理由はわかりません。俺を持ってしても不明です。―――さすがに超能力だなんて馬鹿なことではないと思いますがね。ありえない。


……もうそろそろ眠らせていただきますね。三時には森崎先生の『相手』をしなければならないので。全く、人間の男性と言うものは面倒くさいものですね。
俺も(自主規制)などという面倒なことをしなければなりません。俺だって生物学的には男ですから、当然(自主規制)で(自主規制)だったりするわけですが―――それも貴方には関係のないことですね。
ああ、同情は要りませんよ?俺は全くこれっぽちも雨の一滴程度も気にしていませんので。


では、また。
次に会う時が―――貴方にとって平和なときであることを祈ります。



そして、貴方にとっての日常が―――『異常』でありませんことを。