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Loveself プロローグ~天災編~

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俺の知り合いには、自称神を名乗る女性がいます。
彼女は麗しい容姿とたぐいまれな才能を持っており、それが故に自らが人間を超越した存在、すなわち神だと主張しているのだそうです。
愚かしいと思いませんか?
烏滸がましいと思いますよね?


彼女『ごとき』が、人間の頂点を名乗るなんて。


さらに、人間の頂点を名乗るものが神だなんて、全く巫山戯ている。彼女の頭の中は藁でも詰まっているのでしょうか?あまりの矮小さに笑いさえでませんね。
何故って?そんなことをわざわざ口にしないとわからないのですか?
だって根本的に彼女の言っていることは可笑しいじゃあないですか。
神が人間より上―――それは冗談で言っているのでしょうか?
だとしたら全く面白くも何ともありません。神が人間を超えた存在などという馬鹿なことが有り得るはずがないではないですか!
もし神の方が人間よりも優れているというのなら、俺は今すぐ全裸で街でも歩いてみせましょう。


いいですか、貴方の頭を限界まで使ってよく聞いてください。
人間は―――神以下などではない。むしろ―――人間に及ぶ神などはいないのです。
神を信仰するのは人間です。犬や猫のような生物は神を敬うなどと言う生きるに全く必要のない無駄な浪費をしません。神に金を掛け、意味もわからない聖書や歴史書を読んで知ったかぶりをして喜ぶことはこの世界で人間以外に誰が出来るのでしょうか?
神は、信仰者がいるからこそ神となる存在にすぎない。俺に言わせれば、神なんてその辺りにいる蟻以下ですよ。蟻でさえ、自分の役割を自ら自覚し、身を粉にして働いているのですからね。そもそも、神など現実に存在するかどうかすら信用できないというのに。
罰当たり?ええ、罰などあてられるならぜひやってみればいいのではないですか?
俺は神などという存在は一切信じませんし、何をされようともそれが神の罰などと思わないでしょう。どんなに人知を超えたことであってもね。
それでも神が俺を裁きたいというのなら、お好きにどうぞ。

信じない者まで裁きたがる(自主規制)の小さな神など、人間以下も以下、家畜以下、産業廃棄物以下の屑でしかないことでしょうしね。






「よー、サク。今日はどうよ?元気だったか?保健の先生とよろしくしてなかっただろうな?いや、だって杏先生って最強にエロいじゃん。あの人あんな露出激しくてよく怒られないよなってくらいだよな。噂じゃ校長も誘惑してるって聞いたけどさ、あの人の場合タチの悪い嘘だと言いきれない雰囲気のとこがまたすごいっつうか、うん」

―――俺を眠りから覚醒させたのは、よく知る彼の声でした。
相変わらず騒々しい―――その騒々しさは五月の蠅以上電車のガード下以下、概算で90~100デシベル程度と言ったところでしょうか。
彼はいつも通りの笑顔で、俺のいるベッドの隣の椅子に腰掛けました。

「貴方のその発言は実に不快です、在野。どうして俺があんな雌豚とよろしくしないといけないのですか?何度も言ったと思いますが、大切なことなのでもう一度だけ言います。俺はあの女が大嫌いなのです。本来ならばこうして保健室に通い詰めてあの女の半径100メートル以内にいることも不快なのですが、譲歩してここにいるのですよ?」
「うわあ、しょっぱなから出たよサクのぶっ飛んだ暴言が……人権団体にいつ訴えられてもおかしくないよこれ」
「豚を豚と屑を屑と金魚の糞を金魚の糞と言って何がいけないのでしょうか?俺は真実を口にしているだけですよ」
「いや、いけなくはないけどさ、理解できないんだって!だって杏先生だぜ!?毎日保健室登校のくせに杏先生にムラムラしないお前がおかしくない!?本当に男!?ついてるの!?ありえねえ!」
「俺を獣と同類にしないでください。女性の胸部などただの脂肪の塊以外の何だと言うんですか?特にあの女の所持品だと言うなら尚更です。考えるだけで忌々しい。あんなものに欲情するくらいなら犬や猫と獣姦でも決め込む方が6億万倍ましというものでしょう。『愛くるしさ』というのは時に性欲へと変換可能ですから、そちらの方がまだ人間として至極まともな感情と言えるのではないですか?ロリコンと呼ばれる人種ならこの気持ちはよく分かってくださると思いますが。第一俺はあの女と同じ家に住んでいるのですがね」
「……うん、お前の感覚はさっぱり分からないけど、分かったよ」

彼の瞳は宙を泳いでいます。しかし、俺には関係ないことです。
彼は確かに俺の『友人』ではありますが、友人だからと言って全てが理解できるとは思えません。全てが理解できると思える方が野暮、無意味と言えるでしょう。
特に、俺のことならば、尚更です。

「それに聞き捨てなりませんね。俺がまるで男でないような発言をするとは。これでも少し、親指の爪の先ほど気にしてはいるのですよ?このどちらの性別ともつかない外見のことは。
俺はあの女に興味がない、どころか憎悪すら抱いているだけで、欠片の性欲も持ち合わせていないという訳ではありませんよ。(自主規制)は(自主規制)ですし、(自主規制)を(自主規制)するときには(自主規制)で(自主規制)だというのに。ああ、ちなみに聞かれる前に答えておきますが、俺はホモセクシャルではありませんよ?バイセクシャルです」
「……お前がそんな俺すら公然と口にできないような言葉を口にすると……なんつうか、ものすごくセクハラしてる気分になって恥ずかしいんだが。というかそれを聞いても全く安心できないって分かるか?な?」
「……知りませんでした。もしかしたらそっちの気があるのは貴方の方だったんですか?俺個人は大嫌いとはいえ一応女という性別を持って生まれたあの都山留衣と一緒にいる以上少なくともノーマルな性癖の持ち主だと思っていたのですが、俺を見て顔を赤らめるなんて。もっとも、何度もいいましたが俺は別に男でもかまいませんよ?在野なら特に喜んで歓迎します」
「違うっつの!なんで突然俺ガチホモ認定!?ひどくない!?阿部さんじゃあるまいし!?トイレの中でくそみそテクニックですか!?お前はノンケでもホイホイ食っちまうような男なんですか!?勘弁してくれ俺にはそういう趣味はないから!ていうか最後の台詞が果てしなく怖いんだけど!?第一お前のその発言が危険すぎるんだよ!お前その顔でそういう発言すると、『こんなにきれいな子が女の子のはずがない!』層にマジで食われるぞ!いいのか!?」
「いいも何も、もう既に遅いですけどね」
「うわああああああ!聞きたくなかった!最高に聞きたくなかった!想像しちまって嫌すぎる!俺アニメとかゲームとか大好きだけど腐女子の思考だけはいまだに理解できねえよ!何よりそれを平然と語るお前が俺わかんねえよ!今のお前の台詞は友人から聞きたくない台詞第2位にノミネートされたよ!ちなみに1位は『おれ、昨日童貞卒業したから』だけどな!」

何を今さらわめいているのでしょうか。俺の学校での評判を聞き比べればそれくらい分かるでしょうに。……彼らしいと言えば彼らしいのですが。

「平然としているのは当然でしょう。俺は両刀ですからね。誰でもおいしくいただけます」