Loveself プロローグ~弟編~
それすら分からない兄さんにはほとほと嫌気が刺す。
そう、僕は兄さんが―――嫌いだ。
騒がしくて、鬱陶しくて、役立たずのくせに、僕に対しては一人前の兄であろうと見栄を張る、そんなところが。
嫌いで、不快で、悔しくて、腹立たしくて―――大嫌いなのだ。
空を見上げた。
再び、軽い眩暈が襲う。やはり日光にやられたらしい。
遠慮もためらいもなくぎらぎらと地面を照り付ける太陽が少しだけ兄さんと被って見えて―――腹が立って、僕は上を向くのをやめた。
作品名:Loveself プロローグ~弟編~ 作家名:ナナカワ