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君僕リレイション【relation.2 友人】

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 今日も今日とて俺は、亜希に説教しては邪険にされるという日課をこなしていた。
「弟くんはもういいのかい?も少し遊んであげてもいいんじゃないかなあ」
 ポケットに押収物を突っ込んで帰ってきた俺に、蓮見はそんなふやけたことを言う。いったいどこに目をつけているんだこいつは。
「はぁ?どこをどう見たら俺の教育的指導がそう見えるんだよ。……そもそもあいつ、俺のこと嫌いだし」
 ……自分で言って地味に傷ついた。
 ひそかにダメージを受けていると、蓮見はにやにやと嫌な笑いを浮かべる。楽しそうだ、とても。こいつは他人の不幸が何よりも楽しい娯楽らしい。大抵の人間にはそういうところがあるが、こいつはそれがやたらと露骨だ。
「夏野ってさ、鈍感だよね」
「喧嘩売ってんのか?」
 言いたいことがよくわからないがとりあえずそう返しておく。こいつの言うことの9割は世迷言なのできっと問題はないだろう。
「ま、鈍いおかげでお前に付き合えてるんだろ。よかったな蓮見」
 素のこいつは、倫理上問題がありすぎるノゾキ野郎だが、不思議と突き放す気は起きないのだ。最初に持った感想だが、憎めない、とも言える。なんだか釈然としないので、俺としては災難だけどな、と心の中で付け加えておくことにした。
「……うん」
 あれこれ考えていると、蓮見の声らしきものが耳をかすめる。蓮見にしては珍しく、自己主張のない声だったので聞き取れなかった。
「ん?何か言ったか?」
 聞き返すと、輝かんばかりの胡散臭い笑顔で振り向かれる。
「喧嘩売るなんて、真面目で成績優秀な優等生である僕にはできないよっ」
「不良にカモられて泣け優等生」
 こちらも笑顔で、ウインクまでキメやがった顔を指ではじいてやった。
 

 結論。
 
 性格も性根もタチも悪いけれど、
 俺は意外と、この新しい『友達』ってやつを、気に入っているみたいだ。