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無題Ⅰ~異形と地下遺跡の街~

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そうして、「それ」が見えなくってしばらく。
鬨は自分の泊っていた宿の床にベッドに背を預けて座っていた。ヴェクサは呑気にも、
そのベッドで眠りこけていた。
どうやって帰って来たのかは、鬨にもよくわからなかったが、とにかく、無事に逃げかえった。今はもう乱れていた息も落ち着いて、ベッドに頭だけ預けて目をつぶっていた。
とにかく疲れていた。
いくら息が落ち着こうと、疲れは残る。
眠りたいが、今はヴェクサが使っているし、聞かなければならないことがいくつか増えた。ヴェクサはこれでもこの街を仕切っているのだから、何かしら知っているだろう。そういうことで目覚めるのを待っているのだが、一向に起きる気配がない。
溜息を吐いて仕方なしに立ち上がると、ヴェクサの肩に手をかけ、揺する。

「おい、起きろ」
「・・・・・・・・・」
「・・・おい」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

だんだんといらついてきた。
元々そんなに気の長い方でもない(短い方でもないが)。腰のさやから、刀を抜いた。

「・・・・ン?と、k」

ごがんっっ

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!??(´■`;)」

どうやら剣が刺さる一瞬前に目が覚めたようで、よけられた。

「ちっ・・・起きたのか」
「お、おまっ・・・!殺す気かぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「そんなわけないだろ(そんなに楽に死なせるかよ)。聞きたいことがあんのに(さっさと情報寄こせ)」
「副音でなンか聞こえるンだが!?」
「気のせいだろ」

先ほどまでヴェクサの頭があった場所には刀が深々と刺さっていた。先ほどのすさまじい音はベッドに剣が刺さる音である。どうやらベッドは意外と丈夫だったようで、なかなか硬い感触がした。

「あーあー、お前どうすンだよこれ、穴開いてンじゃねーか」
「知るか」
「Σ(´■`;)」

どうやら、場所を変える必要があるようだった。