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無題Ⅰ~異形と地下遺跡の街~

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今更だが、鬨はこの街の者ではない。外部の生まれである。
旅をしている鬨にとって今回この街に寄ったのは偶然なのだが、立ち寄ったこの街は他の今まで見てきた街や村に比べるとずいぶん綺麗な街だ。家は煉瓦造りで白と赤の目立つこの街は、遠くからでも美しいことがうかがえた。街中の道だって石畳で出来ており、きちんとした水と食料が手に入る。外部から見れば、文句のつけようのない街だった。
しかし、問題は外見ではなく、その内部だ。
今までいろんな街を見てきたが、住人をわざわざ危険にさらすような真似をする街は、まったく無いわけではなかったが、それはただ単にその街を納める者が駄目だっただけだ。
しかし、この街はどうだろう。この街を納めているという目の前の男は、今まで見てきた屑野郎どもと同じには見えない。それに、そんなことをしているにも関わらず住民に愛されているようだった。現に、さっきから差し入れだのなんだのと大量の酒と食いものが机の上に置かれていく。普通、そんなことをしていれば住民にここまで好いてはもらえない。