コックピットへようこそ
すると機長さんは「ぼくもそうだったなあ」といってから「でもね、パイロットになるためには むずかしいことがいろいろあるんだよ」とお父さんと同じようなことをいいました。
「いろんなむずかしいことってどんなことなんだろう。 たくさん勉強しなければならないことかな」ひろき君にはハッキリはわかりませんでした。
「がんばってもがんばっても思うようにいかないことってあるよね」 「そんな時でも希望をもってがんばり続けること、これが一番むずかしいことだね」ひろき君の疑問に答えるように機長さんは、いいました。
「絶対あきらめないこと、どんなことがあっても希望を持ち続けること」機長さんの力のこもった言葉が一言一言心の中に響くような気がしました。
「絶対あきらめないこと、どんなことがあっても希望を持ち続けること」ひろき君は口の中でくりかえしてみました。
トントンと誰かが肩をたたいています。
「もうすぐ到着だよ」というお父さんの声がしました。 何か変な感じです。
「あれー今のは、夢だったのか」
でも夢の内容は、はっきり覚えています。 ひろき君は夢でのことをゆっくり思い返しながら機長さんの言葉を口に出してみました。
「何かいったかい」とお父さんが聞いてきました。 「べつに」と答えると、ひろき君の顔には笑みがこぼれてきました。身体の中から元気な力がわいてくるような気がします。
そして「そうだ。あとで夢のことをおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんに話してあげよう」と心の中で決めました。
作品名:コックピットへようこそ 作家名:kankan