看護師の不思議な体験談 其の八
突然の入院。2週間ほど自宅安静ののち、結局入院することになった。病名はたいしたことないのだけれど、申し訳ない気持ちでいっぱい。スタッフの勤務にも影響するし、病棟が多忙なのはよくよく知ってるし。
「ほんまに、ごめんねぇ。」
「いいよ、いいよ。その代わり復帰したら、めっちゃコキ使うから。」
同僚たちの冗談まじりの優しい言葉。復帰した時の溜まりまくった仕事を考えると、ゾッとするけど、とりあえずはゆっくりさせてもらうことにした。
今回の入院は贅沢にも個室を使わせていただいた。スタッフの面会があるとついついにぎやかになるため、同室者に迷惑がかかるかもしれないので。
いざ、自分が患者様の立場になってみると、寂しいものだった。
日中は仕事仲間たちが入れ替わり立ち替わり、顔を覗かせてくれて、暇することもなかった。しかし夜になると、うってかわって個室にポツンと一人。「寝なければ」と思うほど、なかなか寝付けない。
重症な患者様は、私なんかとは比較にならないくらい寂しく不安な気持ちを抱いているのではないだろうか。
そんなことを考えながら、やっとこさ、うつらうつらし始めた。
作品名:看護師の不思議な体験談 其の八 作家名:柊 恵二