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　頬に流れた涙を拭ったのは右腕だった。
昨晩ずれてしまった頭はきちんと元の位置に戻って来ていた。
見慣れた部屋の中で朝を向かえた。

　窓を開けるとそこには強風で飛ばされて来たのであろう、さまざまなものが散乱していた。
黄色いバケツ、はたき、片方だけの草履、硯、ちいさな人形、リコーダー、なにか樹木の枝葉、おおきな鱗、それらの下には真っ白な雨合羽が一着、埋もれていた。

いつもの物干竿に、煮干しと共にぶら下げておいてやることにする。