月の子供
風が止んだ。
声を出しても風が吹かなくなってしまった。頭はまた上空を漂うばかりである。
ずいぶん遠くまで飛ばされたように思ったが、そこは以前訪れたことのあるすすき野だった。秋の暮れに訪れた時とは様子が違い、すすきの穂は枯れ、細く長い茎ばかりが一面を覆っていた。
茎ばかりになったすすきの中に、ふわふわとした薄金色の穂をなびかせるものがあった。
月の子供等であった。
「カグヤ、シロウ。シロウ、カグヤ。」
頭だけで名前を呼んだ。体をなくしてもの寂しくなってしまったのか、月の子供らの名前を呼んだ。
子供等ははるか頭上を漂うこちらには気付いていないようだった。
「シロウ、カグヤ、カグヤ、シロウ。」
何度も名前を呼んでみたが、月の子供等は小走りに、竹林の方へ消えて行った。
声を出しても風が吹かなくなってしまった。頭はまた上空を漂うばかりである。
ずいぶん遠くまで飛ばされたように思ったが、そこは以前訪れたことのあるすすき野だった。秋の暮れに訪れた時とは様子が違い、すすきの穂は枯れ、細く長い茎ばかりが一面を覆っていた。
茎ばかりになったすすきの中に、ふわふわとした薄金色の穂をなびかせるものがあった。
月の子供等であった。
「カグヤ、シロウ。シロウ、カグヤ。」
頭だけで名前を呼んだ。体をなくしてもの寂しくなってしまったのか、月の子供らの名前を呼んだ。
子供等ははるか頭上を漂うこちらには気付いていないようだった。
「シロウ、カグヤ、カグヤ、シロウ。」
何度も名前を呼んでみたが、月の子供等は小走りに、竹林の方へ消えて行った。