看護師の不思議な体験談 其の四
看護師の不思議な体験談 其の四
「赤ちゃんって、目は見えてるんですか?」
と、よく産後のお母さんから質問を受けます。
いつからはっきり見えるというのは個人差もあり不明ですけど、新生児はとりあえず、明るい・暗い、白い・黒い、といった風になんとなくは視界に入っているようです。
それを「物」とか「誰」とかいう認識はまだできません。
「抱っこしていると、お母さんの黒目とか、授乳の時はお乳とかが、ぼんやり見えているようですよ」
そう説明すると、お母さんたちは嬉しそうに目を細めます。
新生児を見つめているだけで、こちらも幸せになります。けれど、クリクリとした綺麗な目で見つめられると、まるで心の奥まで見透かされている気持ちになります。
あの小さな頭で、どんなことを考えているのでしょう。赤ちゃんの見ている景色って、ホントどんな感じなんでしょうか。興味津々です。
私たち大人には見えていないものも、きっと見えているんだろうなあと思います。
作品名:看護師の不思議な体験談 其の四 作家名:柊 恵二