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ブルーフィルム★バッド・デイズ

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「バレたらどうする気だったん」
「小学生だで?ちょっと囃し立てられて終わりだろー。ユウキも清々したっしょウサギ居なくなって」

…それは、まあ。
面倒な作業がなくなって嬉しかったのは覚えてる。殺されたウサギは俺が見に行く前には片付けられてたし、退屈な小学校生活の一大事件!みたいなそんな印象しか残っていない。


「あと、犬殺したのも俺」
「犬?」
「ほら、いたじゃん近所にさ。登校中に吠えてきた五月蝿い犬」
「普通に覚えてねーわ」

ユウキ結構忘れっぽいからなあ、なんてカズアキが苦笑した。うるせーよ。


「夜中に連れ出して、殺して舌切って川に捨てた」
「……バレたらどうしたん」
「バレんかったからな!」



……こいつ。俺は頭を抱えた。
俺が今一番言うべき台詞は、


『誰がそんなこと頼んだんだよ…!お前には関係なかっただろ!?
俺のため、とか言うなら最低だ!二度と俺の前に現れるな!』


……なんだろう。よくある台詞だ。テンプレとすら言えるだろう。

しかしその台詞を言って、大団円に持ち込めたなんて展開聞いたことないぞ。ほぼ10割の確率でバッドエンドだ!Nice boat.だ!彼女もいないのに!

……と、言うこともあるし、ウサギに愛着なんか持っていなかったのと、犬を覚えていないせいで、カズアキに大して怒る気にもなれない。これはひどい。

まあ俺に言わせれば、ペットでもない動物に同情抱くなんて偽善者だ。ベジタリアンだって植物殺してんだから。…俺ひどくねえ?


「だからユウキ、一緒の大学に行こう?」
「だからって何ぞや。いや流石の俺でも、ちょっとその流れは理解できない」
「これからも俺が守ってあげるよ」
「いや頼んでない」
「俺が助けなかったら大変なことになってたってのに、良く言うよ」
「ウサギも犬も別に…」
「人間は?」
「……ええー」


それは流石に不味いわー。

「ついてってあげるから、自主しよう?」
「無理」
「人は流石に不味いで。人間も動物てゆーてもちゃうねん。やっぱちがうねん」
「いや殺ってへんがな。……シメただけや」
「シメて落としたんだろ!!!」
「いや絞殺してないし…ちょっと喧嘩で友情を深めただけ」


頭の中に、カズアキと誰かが夕暮れの川原で殴り合い、最後にはクロスカウンターで相討ちになり、『やるじゃねえか』『てめえこそ』と讃え合って名刺交換ならぬ絆創膏交換をする図が浮かんだが、まあ、ないない。
カズアキは闇討ちとかの方が合ってるよ。いや洒落にならんわ。


「ユウキをパシらせようとしてた不届き者がいたから、ちょっと」
「あったんだなそんな青春の負の遺産っぽいもの。都市伝説かと思ってた。…で、ちょっと」
「ポキッと」
「うわあ」
「で、ベリッと」
「それは痛いわ…」


俺はその誰かに、心から同情した。て言うか、


「良くバレんかったな」
「生徒手帳頂いたから住所わかるんだよね。未だに」
「お前……番長かよ……」

俺が青春って何とぼやいていた間に、何やら俺の回りで青春くさいことが起こっていたらしい。



「あと、ユウキのこと気にしてる女子全員と寝た。」
「…………」


なんだって?

「だってその女子とユウキが付き合いなんかしたら、嫌じゃない?」
「いや俺はむしろ大歓迎なんだけど」

カズアキは照れたように頭を掻いた。

「いや俺がね?」
「お前………」


流石にこれは引いた。俺の回りでこっそり青春するに飽きたらず、俺の青春の芽まで摘んでやがったのか…

「ユウキには俺がいるじゃない」
「いや何を行ってるんだお前は………ホモ?」
「ユウキだから好きなんだよ」
「そんな月並みな台詞で俺は誤魔化されない」
「月並みじゃなければいいの?」
「そうじゃねえよおおおお」

俺は再び、頭を抱えた。

なんだこの展開は。一体俺は何処でフラグを立て違えたんだ。
ギャルゲで言う男ルートなんて全員攻略したあとのくっそ難しい隠しルートか、誰も落とせなかった時の友情エンドだぞ。
いや、カズアキが頼んでもないのに全部折ってくれやがったらしいから、強ち間違ってもないのか。いや、そういう納得はいらない!!!!


「ユウキに彼女とか彼氏とかまじで無理。ホントに俺殺しちゃうかも」
「心配しなくても彼氏は有り得ない。彼女は諦めてくれ」
「無理」
「フェミニスト気取ってんじゃなかったのかよ」
「その方が、便利。」
「お前意外とクズだな…」

しかしイケメンのクズはポイントが高いらしいから、女子の気持ちは判らない。

「だからユウキ、結婚しよう?」
「ちょっと待って今わかりかけてた全てがわからなくなった」
「考えるな。……感じるんだ」
「洒落にならんわ!!!!」


きっとカズアキはアレ、一個ぶっちゃけちゃったらもう芋づる式にぶっちゃけちゃえ!みたいな傍迷惑極まりない状態なのだろう。と、冷静になる俺。

こいつと先週まで一緒にAV見てた俺が怖いよ。いや考えてみたら男子高校生って一緒にAV見んの?おかしくない?いやAV持ってくんのはカズアキだけど…俺はめられてねえ?何か大きな陰謀に巻き込まれてねえ?
……いや、考えるな。考えたら負けだ。こいつホモじゃないらしいからAVでも抜けるんだろう普通に。間違いない。気味の悪い妄想はやめよう。



「とりあえず」
「はい?」
「結婚とか頭おかしいんじゃないですか系」
「俺は本気です系」
「更にタチが悪い系…日本では無理なんで諦めてくれ」
「海外ならいいの?」
「ちょっと何なのそのポジティブ。ついていけない。あとそろそろナイフ仕舞ってください」
「付き合ってくれるなら」
「…………」


あぶねえ。今一気にハードル下がったから頷きそうになったわ。
俺は胸の前で腕を交差して見せた。


「無理」
「心中しよう」
「思い直してくれ」
「来世できっと結ばれよう」
「色々と間違ってる!!それはもう色々とな!!!」



とりあえず来世でも結ばれたくねえ!