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しっぽ物語 3.ラプンツェル

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「ああ」
 海面に反射するような鋭さを以って目を刺すようになったきらめきにとうとう根を上げ、Lは斜め上から顔を叩く水を止めようと手を伸ばそうとした。痺れたように重く、腕は持ち上がらなかった。
 だが有能は広報部長は上司の意思を素直に見抜き、すばやく蛇口を捻った。不思議なことに、流れが消えても、光はまだ視界にまとわりついたままだった。それに被せられるようにGの大声が室内に反響することは、二日酔いの身体にとってあまりにも酷だった。
 目を閉じながら、Lはもう一度首を振ろうとした。やっぱり、シャワーを流してくれ。頭が燃えるように熱い。皆の言うとおり、もう若くないのだ。事実は認めなくてはならない。酸性のアルコールを分解するのはアルカリ性の食物が良いと聞いたことがある。今日の夕食は、コールスローだけにしておこう。それにしたって口にする気力があるかどうか分かったものではなかったが。それにしても、あの光は本当に綺麗だった。
 部屋を飛び出していくGの足音が消えてから、Lは誘惑にかられ、もう一度眼を開けた。ホテルのネオンよりも酷いオーロラ状の光に、すぐさま目を閉じる。だが今度は遮断した暗闇の中にまでついてきた光の波は、結局Lが意識を手放すまで、脳内から消えることがなかった。