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小さな鍵と記憶の言葉

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 少女は満足したように二回頷き、鍵穴に鍵を差し込んだ。
 きりきりと音を立てて時間が蓄積されて行く。振り子の音が、針の音が正確さを取り戻す。青白かった光がオレンジを帯びたあたたかな色に代わり、まるで夜更けから朝焼けへと移っていく空に似ていた。

 きりきりと、ぐるぐると。慣れない手付きで螺子を巻いていく。

 手を放せば、太陽の輝きが、瞬く間に地上へと昇っていく。その光が真上の時計塔まで届いた瞬間、数日ぶりの鐘の音が城内に響き渡った。

 庭には色とりどりの薔薇、本の森にはニタリ笑い。