優しい人
優しい人
第3章
ピアス
自分の手がある
自分の手には一つのピアスが握られていた
鋭い銀色が冷たく光っている
皆さんはピアスのジンクスを知っているだろうか?
昔は男の貴族が付けるもので、ピアスには、勇気と誇り愛する女性を守る
と言う意味があるらしい
雨が降っていた。憂鬱な憂鬱な雨だ。
周りを見ると黒い服を着た、人ばかりがいた。
周りはみんな泣いている。
秋が殺されて、三日が経った。
もちろん学校は休校になり。
警察やらに取り調べも受けた。
翌朝テレビでも殺人事件として取り上げられた。
秋の死体には、心臓を刃物で刺された痕跡があり
殺人事件と断定されつつある
秋の死体にはピアスが付いていたらしい
秋はピアスなんてしていないのにそこが不思議だったりする。
いったい誰が秋を殺したのか解らないが、もし見つけたらすぐにでもそいつを殺したい気分だ。
秋が何をしたというのだろう
秋を殺す資格なんて誰にもないのに…
葬式が終わりみんなが帰り始めた。
茜が自分に泣きながら近づいてくる
茜『なんで!秋が殺されなくちゃならないの…』
志稲『俺に言われても解らないよ』
ちょっと冷たかったかも知れない
茜は秋とすごく仲が良かった、もしかしたら付き合ってたのかもしれないと思うぐらいだ
それから俺たちは会話をまったく交わさなく茜を家まで送った
犯行手口が学校の近くであった殺人事件と似ているため同一犯の可能性が高いと警察は言っていた
犯行はいつも夜行われ、俺が通っている銀裏学園(ぎんりがくえん)の近くで行われている
秋が殺されても何故か俺は泣かなかった、いや涙が出てこなかったのだ
自分 大山 志稲は怪物なのだ。
他人の不幸を喜び、思ってもいないことを言い、自分の手汚さず、相手を傷つける怪物だ。
いつも良い人を気取り、他人が傷つくとこをみて喜んでいるのだ
最悪のクズ自分でも解っている
自分の裏の部分を隠そうとしても、隠しきれずに傷つける
二人自分が居るみたいな感じだった
良い自分と嫌な自分、どっちも俺だから、あまり隠しきれない
この頃自己嫌悪に陥り、いつも苦しんでいた
そんな嫌な自分を消すために人にやさしくするのだ
いまの俺に出来る良いことは秋を殺した奴を見つけて殺すことかもしれない。
そうすれば茜や上に居る秋も喜んでくれるかもしれないな…
時間は真夜中の2時秋が殺された時間だ
そんな時間に俺は、銀裏学園近くを警察に見つからないように歩いていた
秋を殺した犯人見つけるためだ
見つけて自分にそいつが殺せるのかと言えば、そんな勇気は無い気がした
でも何もしない訳にはいかなかったのだ
自己嫌悪に押しつぶされそうだからだ。
そんなことを思っているうちに、何処からか人のうめき声が聞こえた
確かにその声は近かった。
声のする路地を左に曲がるとそこには血だらけのおっさんが今にも死にそうな状態でいた。
おれはそのおっさんを知っていた。
茜のお父さんだ。
頭が真っ白になった。
何が目の前で何が起こっているのか解らない。
その時背中に激痛が走った
血がまえに飛び出し、体が熱くなった。
力を振り絞り後ろを見るとそこには血に染まった茜が立っていた。
意識が 遠のいてきた
茜の… 耳には… 銀色の… ピアスが… 付いていた…
優しい人