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眠り姫に

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「灰斗ー?泣いてんのー?」
「……」
「灰斗ー?」

顔を見上げると、目を伏せていた。

「……寝てるの?」
「……」
「ご飯も食べないで全く……」

俺があんだけ探し回ったのにコイツはもう……

「俺の貴重な昼休みが…返せよー!!」

俺が騒いでもわめいても、灰斗は一向に起きない。
どれだけ熟睡してるんだ全く。

「……誰もいないよね?」

念のため辺りを確認する。
が、もちろん予鈴が鳴っているので誰も居ない。
え?俺?灰斗が起きたら行くよ。

「……」

ゆっくりと顔を近づける。
らくがきしてやろうか、とか思ったけど、ねぇ?

「睫毛長ッ…女みてぇ。
 それに細いし髪の毛サラサラしてるし…。」

そういえば妹も可愛かったなぁ。うん。
妹もそっくりなんだぁ。
ていうか本当女みたいな顔立ち。
言ったら怒られるんだろうなぁ。

「…ごめんね、灰斗。」

一瞬だけ、唇を合わせる。
ほんの一瞬、でも俺には特別な瞬間だった。
その途端、本鈴が鳴った。

「!!」

思わず顔を離す、が、灰斗は一向に起きる気配がない。

「……サボり、決定かぁ。」

しばらくはこの眠り姫が起きるまで、
寝顔を堪能しよう。

作品名:眠り姫に 作家名:七瀬 庵